２０１４年１２月号の「ささき歯科クリニックだより」に掲載されている一部分をご紹介いたします。
今後も発行していきますので、ぜひご覧になってください。
今はケガや病気で臓器や組織を失うと、他人の組織を移植するか人工物で代用するかしかありません。
代表的なものでペースメーカーや人工心臓弁、人工透析や人工関節、それに人工歯根(インプラント)があります。
これらは治療成績が十分信頼できるものとして広く世界で使われています。
臓器移植は他人の臓器を移植するため拒絶反応が起こります。
かつ提供できるドナーが圧倒的に不足しているので順番待ちの間に命を落としたり、海外に渡って手術するケースもあります。
もし、自分の臓器がもうひとつ造れたらどんなに安心でしょう。
それを可能にするのがクローン技術とＥＳ細胞と細胞工学(ティッシュエンジニアリング)です。
クローン技術は１人の人間を丸ごとコピーして作れるので倫理的な問題があります。
ＥＳ細胞は色々な細胞になれる万能細胞ですが受精卵を使うのでこれも倫理的な問題があります。
ノーベル賞を受賞した山中教授は受精卵ではなくヒトの皮膚から万能細胞(ＩＰＳ細胞)を作りました。
病気のメカニズムや治療薬・治療法など実用性のスピードを加速させる研究です。
ＳＴＡＰ細胞はマウスの基礎実験ですがＩＰＳ細胞よりもっと簡単に万能細胞を獲得する方法で注目されましたが、まだ他の研究者に再現されていません。
細胞工学(ティッシュエンジニアリング)は臓器や組織の細胞を体外に取り出して培養し、新しい組織を作る方法です。
この方法が確立されれば、ケガや病気になっても自分の細胞で組織を修復することができるようになります。
私たちは今まさに医療の未来を変える瞬間に立ち会っているのです。
